ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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認知症の母がまだ自力で歩けた頃。同居していた私と愛妻は、日曜日どうするかで悩んでいました。デイサービスは日曜日お休みです。一日中、母と家にいるのでは気がふさぎます。どこかへ出かけるにしても、人混みの中に母を連れて行くのは危険です。そこで考えたのが知多88カ所のお寺巡りです。
四国の88カ所巡りは有名ですが、愛知県知多半島にも、88カ所のお寺を回るコースがあるのです。
車でお寺を訪ねていき、お参りして、記念写真を撮る。階段も高齢者の運動にはちょうどいいくらいです。なにやら徳もつめそうです。何よりもすいています。
お寺を色々めぐるうちに、お寺にも格差があると感じました。ピカピカで新築したばかりのようなお寺もあれば、ボロボロのお寺もありました。
しかし、あるいは、こういうボロボロのお寺にこそ、名僧がいるのかも知れません。劇場もそうであるように。名古屋には、七ツ寺共同スタジオやナビロフトなど、倉庫を改装したような劇場がいくつかあります。そこには世に知られぬ名優が舞台に立っている事があります。お寺もそうかも知れません。
そのお寺のうちの一つ、延命寺様から、子猫を一匹頂きました。お寺が野良を保護して、里親を募集していたのです。現在、我が家にいます。ラムネと名付けました。人に慣れない孤高の猫です。端整な顔立ちはいつも瞑想しているようです。お寺で修行した猫ですから、それは徳の高い猫なのかもしれません。でも、ソファーやイスでオシッコをします。あるいは、深いお考えがあっての事かも知れません。名僧も名優も奇行をしていそうです。
ラムネさん、徳が高いのはわかりましたので、トイレはトイレでしてください。English
力道山(りきどうざん)とは、元力士でプロレスラーです。昔、大変な人気だったそうです。
私が子どもの頃も、その名残は残っていて、プロレスはゴールデンタイムに放送されていましたし、小学校でプロレスごっごも流行っていました。アニメやドラマでも戦いをメインにしたものが多かったです。
母は、私がそういう番組を見るのを嫌っていました。物事を腕力で決めるのは良くない事です。教育上、良くないですね。母は相撲さえ嫌っていました。しかし、昔からそうだったわけではないようなのです。
後に、母は認知症となり、若返っていきました。
どういうことかというと、名作舞台「ぬけがら」に描かれているような事です。2005年、佃典彦(つくだのりひこ)さんの作品で、戯曲も白水社から発売されています。岸田戯曲賞受賞。香港で映画化もされています。認知症を扱った、この作品の秀逸なアイディアは、高齢の父親が脱皮を繰り返し、若返っていくところです。舞台では、実際に次々と若い役者が入れ替わりで「父親」役を演じ、主人公と対話をします。佃さん自身、認知症の父親を介護した経験があり、芝居の内容も、かなり実際の経験を元にしているそうです。
アルツハーマー型認知症患者は若返ります。外見は変わりませんが、本人の記憶が若返ってしまうのです。
母はある時期、しきりと「小牧(こまき)に帰らなくてはいけない」と言っていました。母が名古屋市に住み始めたのは結婚後、かなりしてからで、若い頃は愛知県小牧市で暮らしていました。認知症の症状によって若返った母には、名古屋に住んでいる記憶はありません。彼女の家はいまだに小牧にあるのです。母は次々と若返っていきました。
子どものように駆けだして、骨折ばかりしていた頃もあります。身体は若返っていませんから、もちろん転んでしまうんですね。
それからかなりたって、トイレの介助が必要になった頃、母が歩く時に変なかけ声を出すようになりました。「力道山! 力道山!」と言っているのです。私が「力道山、好きなんですか?」と聞くと、「うん、大好き」と子どものように答えました。
何のことはない、母だって力道山に夢中になった時があったんです。
万が一の話ですが、私がこれから何か立派な事を言ったり、やったりするかも知れません。でも、最終的には認知症になって「マジンガーZ(ゼット)大好き!」とか言い出すんでしょうね。
「マジンガーZ」は主人公が巨大ロボットに乗って戦う最初の作品だそうです。それまで、ロボットは自立していたり、リモコンで操る物だったとか。後のロボットに乗る作品は全て、「マジンガーZ」の影響を受けているといっていいんですね。
最近のヒーローは巨大ロボットに乗ってくれませんね。
イラスト by miceking
一人暮らしの大叔母が他界した後、その家の後片付けをしたのは私です。片付けを始めて、すぐに手をつけたのはお風呂の修理でした。認知症だった大叔母は風呂場での事故をおそれて、お風呂を壊しておいたのです。貸すにしろ、売るにしろ、人が住める状態にした方がいいと判断しました。業者に依頼して修繕してもらい、40万円ほどの費用がかかりました。
せっかくお風呂を修理したのだから、入っておこうと、一度だけそこで風呂に入りました。旧式でしたが、いいお湯でしたよ。
大叔母は物持ちで、それらを丁寧に片付けるのに3年ぐらいかかりました。
協議の結果、その家は賃貸として貸し出す事にしました。ところが不動産業者も大工さんも、水回りは根本的にリノベーションした方がいいと主張しました。この数十年で水回りの技術は飛躍的に良くなっているそうです。そして借り手の方でも、水回りの環境で物件を選ぶのだといいます。結局、私が40万かけて修繕したお風呂は取り壊して、根本的に作り直す事になりました。
私が一度入っただけですからね。私はその一回の風呂のために40万円使った事になります。一風呂40万。
他の事に使えば良かった。
English
イラスト by DIJ
一年だけ、東京で暮らした事があります。
ある日、懸賞で焼き肉お食事券3000円が当たりました。銀座のお店です。ルームシェアしていたプログラマーと一緒に食べに行こうという事になりました。私は名古屋育ちですから、銀座がどういう所か知らなかったんですね。名古屋の感覚でいますから、お食事券3000円、追加で、二人それぞれ少しずつ払えば、そこそこ、焼き肉を楽しめるのだと思っていました。そのプログラマーも、関東の出身でしたが、東京の人ではなかったので、それくらいの感覚でいたのです。
店に入って、メニューの金額を見て、腰を抜かしました。飲み物と、焼き肉二皿も頼めば、予定していた予算を上回ってしまうんです。
「うまい話はない」と、焼き肉を二皿だけ頼みました。それだけ食べて帰ろうと。
運ばれてきたのは、二皿は二皿だけど、お肉は薄っぺらいのが数枚程のっているだけなのです。しかも、凍ったままなんですよ。しかも、そんなに美味しくない。
満腹にはほど遠い状態でレジに向かいました。伝票を店員に渡すと、伝票を見た店員がずっこけていました。金額が安すぎてびっくりしたんでしょうね。
帰りに、その店の近くのラーメン屋に入ってラーメンを食べました。ネギが入れ放題でした。安かったし、すごく美味しかったです。
東京の物価ってどうなってるの? こういうエキサイティングな体験が絶えないから、東京には人が集まるんだろうなぁ。
また、東京に遊びに行きたいですね!
イラスト by マツ
栄(さかえ)は名古屋の繁華街です。我が家は名古屋市の端っこですが、栄まで一本で行けるバスがあります。一時間に一本しかありませんし、一時間かかりますがね。亡き父は生前、毎週、認知症の母を連れて、そのバスを利用して、栄へ行っていました。
父は難聴でしたし、メールも使えませんでしたが、携帯電話を持たせていました。父は電話で話すことは出来ませんでしたが、電話の操作の仕方がわかりました。母は電話の操作は理解できませんでしたが、耳は達者でした。父が電話を操作すれば、母と電話で話すことは出来ます。母は記憶できませんが、大声で電話の内容を父に伝えることは出来ました。夫婦協力すれば、携帯電話を使えたのです。一度、事故があったとき、事故の相手と、その電話で、直接、話したこともあります。使いこなせなくても、高齢者に携帯を持たせる意味はあります。位置情報を確認するサービスにも入っておりましたが、思いの外、これは一度も役に立ったことがありませんでした。
ある日の夕方、父の携帯を見ると、驚くべき記録が残っていました。
その携帯には万歩計の機能があるのですが、その万歩計に、4歩と出ていたのです。その日、父と母は、栄に行っているのです。バス停まで500mはあります。栄で買い物しているので、歩き回っているはずです。バスを使ったといっても、四歩で済むはずがありません。どういうことなのか?
父は歩行困難者でした。歩行困難といっても、杖は使っていませんでした。歩き方は、非常にゆっくりで、足を上げず、すり足のように歩きました。あまりにもゆっくりなので、万歩計が計測できなかったのです。
私もやってみましたが、万歩計に計測されずに歩くことは可能なのです。
私は名古屋市の中心部へ4歩の家に住んでいます。
新しい競技を思いつきました。スタートからゴールまで、万歩計に計測されない歩き方で、いかに早く歩くかという競技です。お年寄りから子どもまで一緒に楽しめるかもしれません。
English
イラスト by バドインターナショナル