ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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力道山(りきどうざん)とは、元力士でプロレスラーです。昔、大変な人気だったそうです。
私が子どもの頃も、その名残は残っていて、プロレスはゴールデンタイムに放送されていましたし、小学校でプロレスごっごも流行っていました。アニメやドラマでも戦いをメインにしたものが多かったです。
母は、私がそういう番組を見るのを嫌っていました。物事を腕力で決めるのは良くない事です。教育上、良くないですね。母は相撲さえ嫌っていました。しかし、昔からそうだったわけではないようなのです。
後に、母は認知症となり、若返っていきました。
どういうことかというと、名作舞台「ぬけがら」に描かれているような事です。2005年、佃典彦(つくだのりひこ)さんの作品で、戯曲も白水社から発売されています。岸田戯曲賞受賞。香港で映画化もされています。認知症を扱った、この作品の秀逸なアイディアは、高齢の父親が脱皮を繰り返し、若返っていくところです。舞台では、実際に次々と若い役者が入れ替わりで「父親」役を演じ、主人公と対話をします。佃さん自身、認知症の父親を介護した経験があり、芝居の内容も、かなり実際の経験を元にしているそうです。
アルツハーマー型認知症患者は若返ります。外見は変わりませんが、本人の記憶が若返ってしまうのです。
母はある時期、しきりと「小牧(こまき)に帰らなくてはいけない」と言っていました。母が名古屋市に住み始めたのは結婚後、かなりしてからで、若い頃は愛知県小牧市で暮らしていました。認知症の症状によって若返った母には、名古屋に住んでいる記憶はありません。彼女の家はいまだに小牧にあるのです。母は次々と若返っていきました。
子どものように駆けだして、骨折ばかりしていた頃もあります。身体は若返っていませんから、もちろん転んでしまうんですね。
それからかなりたって、トイレの介助が必要になった頃、母が歩く時に変なかけ声を出すようになりました。「力道山! 力道山!」と言っているのです。私が「力道山、好きなんですか?」と聞くと、「うん、大好き」と子どものように答えました。
何のことはない、母だって力道山に夢中になった時があったんです。
万が一の話ですが、私がこれから何か立派な事を言ったり、やったりするかも知れません。でも、最終的には認知症になって「マジンガーZ(ゼット)大好き!」とか言い出すんでしょうね。
「マジンガーZ」は主人公が巨大ロボットに乗って戦う最初の作品だそうです。それまで、ロボットは自立していたり、リモコンで操る物だったとか。後のロボットに乗る作品は全て、「マジンガーZ」の影響を受けているといっていいんですね。
最近のヒーローは巨大ロボットに乗ってくれませんね。
イラスト by miceking