ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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学生時代、名古屋製作の幼児番組に出演していました。出演といいましても、ぬいぐるみに入る仕事でしたので、私の顔が映ることはありませんでした。
その映像会社は幼児番組を作るは初めてで、いろいろ手探りで作っていました。その手探りに撮影の初日から参加できたのは貴重な体験でした。
ある日、家でくつろいでいるとき、何気なくつけたテレビの、幼児番組にくぎ付けになりました。東京制作の長寿番組です。
あまりのレベルの高さに驚いたのです。洗練されたセンスと経験のあるスタッフと魅力ある出演者。息がぴったり合っていて、私の参加している作品とは格が違います。私たちだってがんばっています。しかし、やすやすと追いつけるレベルではないのです。それを思い知らされました。
突然、台所にいた母が叫びました。
「何をそんな番組に夢中になっているの! もう大学生でしょう!」
母には幼児番組に出演していることを言っていませんでした。大学生の息子が幼児番組を目の色を変えて見ていたら、心配になりますね。
日ごろ何気なく見ているテレビですが、どれも大変な作品ばかりです。
どんなものでもそうですが、一度作り手の側に立ってみると、それまで見えていた景色と違うものが見えてきますね。
English
イラスト by R-DESIGN
私は今まで色々な仕事をしてきました。
どの仕事も認知症の親の介護よりは心身にかかる負担は楽でした。
その中で一番楽な仕事をあげるとしたら、これです。
大学図書館の受付。2000年代にやっていました。
大学図書館は、市民図書館などと違って、難しい本がメインですから、利用者が少ないのです。30分に1回くらい受付対応する程度。イスに座ったままです。一時間に1回くらいに返却された本を棚に戻す作業。ちょうどいい散歩になります。冷暖房完備。時間になると上司から「休憩してください」と言われるのですが、これ以上、どう休憩していいのかわかりませんでした。
本の貸し出し、返却作業でパソコンを使うのですが、自由に使っていいというゆるいルール。ちょうどその頃、私はもの書きの仕事をしていたので、それをしていました。内職です。仕事中に他の仕事をするとはなんと効率のいい。
ある日、課長が私に近付いてきました。課長は私が話したことがある内では、一番偉い人です。図書館員なのに内職ばかりしていたので、小言を言われる覚悟をしました。すると課長はこう言いました。
「三浦さんタイピング早いですねぇ」
褒められました。
この課長は、後に私が最初の本を出版したとき、わざわざ我が家まで来て、一冊買ってくれた人です。
世界中全ての職場が、こんな職場になーれー!
English
イラスト by graphicalicious
学生の頃、アルバイトで、着ぐるみの誘導という仕事をした事があります。私も後に、着ぐるみを着る仕事をするのですが、この時は、自分自身は着ぐるみを着たことがありませんでした。車の運転した事がない人が車を誘導するのは難しいように、着ぐるみの経験のない人が着ぐるみの誘導をすべきではありません。
着ぐるみを着ると、視界が悪くなります。というか、ほとんど見えません。障害物があるような所を誘導する場合、手をつないでりして、ゆっくり移動した方がいいです。
その日、イベントスタッフの一人として会場である公園にいた私は、会社の人に「彼を楽屋まで誘導してあげて」と頼まれました。ウサギの着ぐるみでした。私は分かっていませんでしたから、ウサギちゃんの前を「こっちですよ」と声をかけながら歩いていました。
車止めがありました。公園に車が入れないようにする低い柱です。私は着ぐるみのことが分かっていませんでしたから、さっさとその車止めをすり抜けて「こっちですよ」とウサギちゃんに声をかけました。ウサギちゃんには車止めが見えないという事が分からなかったのですね。
なんたる悲劇! 車止めはウサギちゃんの股間を直撃! 車止めは大体股間を直撃する高さになっているのです。ウサギちゃんは、しばらくうずくまっていました。
ウサギちゃんは苦難の道を越えて、やっと楽屋のテントに着きました。私はウサギちゃんに謝りました。ウサギちゃんは「いいよ、いいよ」と手を振って、着ぐるみを脱ぎました。中から出てきたのは、顔中にピアスをしたパンクロック風の怖い人でした。ウサギちゃんの時に謝っておいてよかった。パンクロッカーになってからだったら、怖くて謝れませんでした。
みなさん! 着ぐるみは前がよく見えません! くれぐれも車止めに注意を!
English
イラスト by モカ
学生の時、ショッピングセンターの改装のバイトをした事があります。日給8000円ぐらいだったでしょうか?
あるとき、大変なことが起こりました。誰かが、養生テープを貼らなくてはならないところに、剥がれにくい特殊なテープを貼ってしまったのです。誰のミスか知りませんが、きっと働き者だったのでしょう。大量に貼られてしまいました。剥がそうと思っても、簡単には剥がれません。引っ張ってもボロボロと破れてしまうだけです。金具でごしごし削って、やっと剥がれるのです。
社員もバイトも全員でそのテープ剥がしをやりました。改装のためにそのショッピングセンターは一日休業でしたが、明日の朝には開店しなくてはなりません。
定時になったので帰ろうとしたら、社員さんに頼まれました。
「時給1500円出すから残ってくれ」
実は、私はその前日に徹夜をしていました。もう帰って寝たかったのですが、時給1500円の魅力には勝てません。残りました。
深夜1時を過ぎました。流石にふらふらになったので、帰ろうとしたら、社員の方が言いました。
「時給2000円、いや3000円出すから朝までいてくれ!」
でも眠い。健康第一です。魅力的な提案に、背を向けて、振り切るように駐車場に向かいました。そのショッピングセンターにはバイクで来ていたのです。
バイクに乗り、エンジンをかけて、出口に向かって、はじめて気付いたのです。深夜ですから、駐車場の出口にチェーンがかけられていて、バイクでは出られないのです。
チェーンの高さは膝ぐらい。当時の私の愛車は世界の名車スーパ・カブでした。郵便局員が乗っている原付です。がんばれば、持ち上げて、出られるような気がしました。しかし、バイクというのは、実際に持ち上げてみると重い。何度も挑戦しましたが、なかなか出られません。深夜ですから、電車も動いていません。バイクがなければ帰れません。今更、戻って、時給3000円をもらって働くのもシャクです。結果として私は、時給3000円の床をこするだけの軽労働を断って、時給0円のバイクを持ち上げる重労働をしていたのです。何時間もがんばっていたら、外からトラックが来ました。朝の仕入れの時間になったのです。朝! トラックの運転手が、チェーンを外してくれました。何のことだ!
今から思い返すと、時給3000円もおしいけど、二日間徹夜しているのにバイクを持ち上げようと考える若さがおしいです。もう二日間徹夜とか、そもそもムリです。バイクを持ち上げよういう気力もない。
過去の若くてバカな自分から、若さを借りられない物かなぁ。
English
イラスト by tele52
2000年代のこと。私は大学図書館でバイトをしていました。今までに体験したことのない程、楽なバイトでした。基本的に座ったままの仕事で、返却されてきた本を棚に戻したり、閉架の書庫で本を探したりするときは立って歩きます。座りっぱなしの仕事も、立ちっぱなしの仕事もつらいですが、図書館員は立ったり座ったりのバランスがちょうどいいです。
素晴らしい役得もありました。
当時、大流行していた「ハリーポッター」シリーズの最新巻が入荷されたのです。市の図書館などでは予約が200人ほど入っていたそうです。
その大学図書館は地域の人も利用できましたが、まさか大学図書館が「ハリーポッター」を入れるとは思っていなかったらしく、誰も予約していませんでした。棚に並べる前に、私が貸し出し手続きをして借りました。新品でした。職権乱用です。
まぁ、どんな仕事でもこれくらいの役得はあってもいいですね。
English
イラスト by ピンカリ