ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
私の友人は以前、回転寿司店で働いていました。私がステーキ店で働いていたときは、従業員はステーキを食べさせてもらえませんでしたが、その寿司店の経営者は気前がよく、従業員はお寿司食べ放題だったそうです。うらやましいですね。毎日お寿司食べ放題。理想の職場があるとしたら、そんな職場ですね。
ところが、私の友人はお寿司を食べなくなったのだそうです。昼夜の休みは、近所のコンビニでお弁当を買って食べていたそうです。お寿司ばかりでは二、三ヶ月で飽きてしまうのだそうです。他の従業員もそうだったそうです。
お寿司は美味しいです。でも、毎日食べたら、そうなるんでしょうね。
私達は毎日ごちそうを食べる生活を夢見ますが、そんな単純なものではないんでしょうね。すき焼き、ステーキ、うなぎ、ごちそうは色々ありますが、毎日食べたら飽きるんでしょうね。
皆さん! お金持ちになっても、毎日ごちそうを食べたりしてはいけませんよ。だんだんごちそうが、ごちそうではなくなっていくのです。
ごちそうはたまに食べるから美味しいのです。
English
イラスト by g-san
学生時代、名古屋制作の幼児向けTV番組で、ぬいぐるみに入るバイトをしていた事があります。ぬいぐるみを着て演技をするのは、普通の演技とは求められる技術が異なり、それはそれで奥が深いモノでした。
通常、撮影スタジオで一番偉いのはディレクターです。何をどうするか決定権はディレクターにあります。その上にプロデューサーや映像会社の社長がいますが、めったにスタジオには来ませんし、来ても目立ちません。
でも、ある日、桁違いに偉い人がスタジオに来ました。
スポンサーの会社の人です。でも、現場に来た人は新入社員らしくて、まだスーツの着こなしもぎこちない若者でした。
ところが、この人に、スタジオの皆はニコニコ、ペコペコなのです。気むずかしいディレクターも、威厳ある先輩役者達も、無愛想なはずのスタッフの皆さんもみんな、私とそれ程、年の変わらないこの若者をチヤホヤするのです。スポンサーの会社の人も、自分の親ほどに年上のディレクターにペコペコされて、ドギマギしていました。
私は古いコントを見るようで笑いをこらえるのに必死でした。
世の中のことがよく分かっていなかったのですね。
有史以来、お金のことを気にしないで創作活動の出来る人は、一握りです。神か、王侯貴族か、パトロンか、民衆かスポンサーに愛されなければ、創作活動そのものができません。私のバイト代だってスポンサーに出してもらっていたのです。笑い事ではありません。
ギリシャ神話で芸術の女神はムーサだそうです。9人姉妹で一人一人担当する芸術が違うそうです。ミュージックの語源だとか。商売の神は男神へルメース。詳しくありませんが、きっと単純な関係じゃないんだと思いますよ。
私の周囲にはムーサには愛されているのに、へルメースに愛されていない人がたくさんいます。
English
イラスト by artbesouro
私は学部生の時、ボウリング場のフロントでバイトしていました。
ボウリングの球を投げるコースの事をレーンと言います。ボウリング場のフロントというのは、どのお客さんに、どのレーンを使ってもらうか、色々気を使っているんですよ。カップルとカップルは隣のレーンにして、同性同士のグループの隣にならないようにしたりしているのです。お互い邪魔になりますからね。
その中で気をつけなくてはいけないのは、常連さんや、上級者への対応です。私がバイトしていたのは、ボウリング・ブームが去った、だいぶ後の1980年代の終わり頃の事ですが、それでも毎日のようにボウリング場に来る常連さん達が、数人いたのです。もちろん上級者、マイボール、マイシューズ、プロテクター持参です。
ボウリング場によって違うでしょうが、上級者にはフロント正面のセンターのレーンを使ってもらいます。そして明らかな初心者には、絶対にセンターのレーンを使わせてはいけないのです。外側のレーンを使ってもらいます。初心者の中には、乱暴なボールの投げ方をする人もいるので、レーンが傷ついてしまうのです。わずかなゆがみが点数に影響します。うっかり初心者を真ん中のレーンに入れたりすると、すごく叱られます。センターのレーンは神聖なのです。
常連さん達は、時々フロントの私達にジュースをおごってくれたりしました。かっこいい大人というのは、さりげなくこんな気遣いが出来る人なんだなと、憧れたものです。
一日バイトを休んで、次の日にフロントに立った日のこと。常連さんの一人がニコニコ顔でやってきました。
「いやいや、その事は、もういいから、もういいから・・・」
と、おっしゃる。私は何のことか分からなくて、キョトンとしてしまいました。常連さん、私の反応にガッカリしているようです。何事だ?
他のバイトの人が教えてくれました。実は、この常連さん、前日にパーフェクトを出していたのです。パーフェクトというのは1ゲーム、全投全ピンを倒すことです。300点。パーフェクトは、めったに出るものではないのです。半年ほどボウリング場でバイトしていましたが、一度も見たことがありません。
パーフェクトが出たということで、そのボウリング場は、前日すごく盛り上がっていたらしいのです。休んでいた私は知らなかったのですね。業務連絡ボードに書くような事ではありませんが、誰か事前に教えて下さいよ。常連さんをガッカリさせてしまったじゃないですか。
あと一投でパーフェクトだという瞬間、センターのレーンにいる常連さん達はジャマしないようにプレーを中断して見守り、外側のレーンにいる初心者やカップルや同性グループもみんな注目したんでしょうね。パーフェクトが決まった瞬間、どれだけ盛り上がったのでしょう?
その場に居合わせたかったなぁ!
English
イラスト by freehand
1980年代。学生だった私はバイトの面接に行きました。面接官は複数いて、面接官の一人は偶然、親の古い友達でした。向こうは私に気づいていないようでしたが、素知らぬ顔をするのも感じが悪いので、面接の途中「〇〇の息子です」と話しました。すると向こうは昔のコントのようにずっこけていました。オーバーな人だなぁと思っていましたが、そうではありませんね。
バイトの面接官になっても不思議のない年になりました。その面接に友達の子どもが面接に来てもおかしくない年になりました。でも、実際に来たら昔のコントのようにずっこけるんでしょうね。人の子どもは突然大きくなります。
当時の私は、面接の席で、よせばいいのに、伝え聞いたその人の若い頃の武勇伝などを他の面接官に披露してしまいました。
悪夢ですね。私は絶対にバイトの面接官にはならないぞ。
English
イラスト by maimu
1990年代の初め、大学生だった私は珍しく映像出演のアルバイトをしました。名古屋の私立大学が予算を出し合って、他地域に向けた名古屋のPRビデオを作ったのです。「不思議の国のアリス」をベースに、女子高校生が名古屋を冒険するというプロット。タイトルは確か「アリス・イン・ワンダー名古屋」。私の役どころはアリスを名古屋の名所に案内するチェシャ猫。
大須観音で撮影したとき、ディレクターが言いました。
「大須観音のハトが一斉に飛び立つ映像が欲しい!」
私はハトを一斉に飛び立たせようと色々試しました。大声を出したり、追い回したり。しかしハトたちは迷惑そうに歩いて避けるだけで、一向に飛び立ってくれないのです。大須観音のハトは人に慣れているんですね。
カメラマンが思いつきました。ちょうど下校時間で、学校帰りの小学生が歩いていました。男の子たちに頼んで、ハトを追ってもらったのです。
効果てきめん。あれだけ私が追い回しても飛び立たなかったハトが、男子小学生に追われると、一斉に飛び立ったのです。ディレクターはお望みの絵がとれてご満悦でした。
大須観音のハトは知っているのです。大人につかまっても大したことはないけど、子供に捕まったらとんでもない目に合うと。
まぁ、子供は無茶しますからね。動物のほうは人間の習性をよくご存じなんですね。
物語のアリスは優しい子供ですが、現実の子供はそうとは限りませんからね。
イラスト by osame