ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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いい役者の部分は、患者の繰り返しの話に初めて聞くようなリアクションをしたり、患者の気持ちが落ち着くような愛情のある作り話を聞かせたりする能力が必要であるという意味です。
名探偵の部分は、難しい言葉で認知症症状了解可能説に根差すものです。認知症患者が行う一見無意味な行動も、名探偵の洞察力を持てばその意味を理解し、その原因を解決できるかもしれないという意味です。
私の母の場合は一時期、出かける度にカレーのルーを買ってくるというのがありました。我が家には段ボール何個分ものカレーのルーがたまっていきました。これを謎とくのなら、母は若いころカレーのルーに助けられたことが何度もあったのだと考えることができます。私がまだ子供だった時、母はカレーさえ作っておけば夕飯の時間を気にせずに仕事ができたのです。まだ電子レンジのない時代。カレーなら子供でも温めるだけで済みます。カレーがないばかりに職場に最後までおられず、悔しい思いをしたことも何度もあったのでしょう。
しかしこの場合、原因を見つけたとしても、解決まではできません。私がもう大人で、夕飯を自分で用意できることや、我が家に山ほどカレーのルーがあることや、そもそも母がもう働いていないことをいくら説明しても、残念ながら意味はありません。それらの説明は一瞬で忘れてしまいます。
我が家では、母が買いたいだけ買わせるようにしていました。母の買ってきたルーは日ごろお世話になっている人たちに配りました。カレーのルーを受け取って、目を潤ませる人もいました。仕事をしていた女性が認知症になって、カレーのルーを買い続けることの意味を瞬時に理解したんですね。
世の中にはたくさんの名探偵がいます。
イラストby takagix