ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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著作権、知的財産権というと近代になって成立した概念のような気がしますが、アフリカのある民族は伝統的に歌の所有権に関して厳しい概念を持っているそうです。
その厳しい概念とはこうです。歌が一曲あるとしたら、その歌の持ち主は地球上でたった一人だけ。歌の所有権を持たない人は、その歌を歌うことを禁じられるのです。いくら好きで覚えたとしても、その歌の持ち主でもないのに、勝手にその歌を歌うのはドロボーです。そのルールだと、勝手に録音して、勝手に聞いてもダメ。カラオケなんてもってのほか。その歌が聞きたかったら、その歌の持ち主の所へ訪ねていき、頼んで歌ってもらわないといけないというわけです。
それはそれで、楽しいかもしれませんね。
「ああ、隣村に住むあの人のあの歌が聞きたいなぁ」
と思ったら、隣村まで、お土産を持って行く。歌の持ち主の体調が悪かったり、機嫌が悪かったら、よくなるまで隣村で滞在する。そうやって、やっと一曲聞くわけです。
死の床につくお年寄りの周りには自然と人が集まるかもしれません。
「俺はもう長くない。おまえたちはよく俺の面倒を見てくれた。あの畑はおまえにやろう。あの牛はおまえにやろう。あの歌はおまえにやろう…」
そうやって、やっと自分の歌える歌を一曲手に入れるのです。
もっとも、これは10年ほど前、文化人類学者の書いた本で読んだ知識です。発展目覚ましい現代のアフリカ。果たして、その民族がまだその概念を持っているかどうかは知りません。あるいは、今頃はその民族の人々もスマフォにガンガンダウンロードしてカラオケでガンガン歌っているかもしれませんね。
イラスト by Katyau