ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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演劇関係者が口をそろえていうのは「役者はセリフを言う能力よりも、セリフを聞く能力が大事だ」というような事です。色んな人が色んな表現でこのことを言います。つまり、相手のセリフの内容や周囲の状況に反応して、演じなくてはいけないということです。ですから、演劇関係者には洞察力に優れた人が多いです。仕草、言葉の選び方、声のトーン、表情などから色々なことを読み取る人がいます。エスパーに近い人もいます。
ところで、名古屋にはドーム型野球場があって、中日ドラゴンズのホームグランドです。名古屋で電車に乗っていると、シーズン中は、野球場帰りのお客さんの群れで混み合うことがあります。多くは中日のユニホームを着ていたり、メガフォン持っていたりしますのですぐにわかります。
この人達の雰囲気から、今日、中日が勝ったか負けたか読み取ることはできないだろうか?
演劇でつちかった洞察力があれば、必ず出来るはず。そう思って、球場帰りの客と出会う度、洞察していました。そして、帰宅してから試合結果をチェックして、自分の洞察が正しいかどうか試してみました。
しかし、全然あたりません。私が洞察すると、だいたい中日は勝っているのです。しかし結果を確認すると、ひどい負け方をしていたりしました。私は普通の演劇人よりも洞察力がないのかもしれない。自信を失っていました。
認知症の母を十数年同居介護して、私自身も大病も患って、色々な災難に遭って少し考え方が変わりました。
野球を観戦したお客さんというのは、選ばれた人たちなのです。チケットを買う経済的余裕があり、球場に来る時間的余裕があり、数時間にわたる試合を観戦する体力があり、複雑な野球のルールを理解してそれを楽しめる知的能力があるのです。そして何よりも野球が好きなのです。ヒイキのチームが勝ったり負けたりするということは大きな問題ではありません。好きな野球を、思いっきり楽しんだ後の人たちなのです。
そう考えると、私の洞察力も捨てたものではありません。幸せな人たちの幸せな雰囲気を読んでいたのですからね。
母を施設に預け、私の健康状態も落ち着いてきました。先日、久しぶりにナゴヤドームで野球観戦しました。何万人も幸せな人達が集まっていて、その中に自分もいるというのは幸せな気分でしたよ。
皆さん! 自分の幸せを確認するために野球場に行きましょう!
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イラスト by jimsy