ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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1990年代の始め、大学生時代、私はぬいぐるみに入るバイトをしていました。今風に言うとスーツアクター。
これが奥が深い。ぬいぐるみを着て立っていればいいという仕事ではありません。ぬいぐるみを生かすも殺すも役者しだい。より良い演技のためにと凝りだすと夢中になる仕事です。
ある時、T市の駅ビル新築オープン・イベントの仕事を受けました。地域のマスコットキャラクターのぬいぐるみを着て、イベントを盛り上げる仕事です。
前日の打ち合わせでスケジュール表を渡されて、自分の見せ場を考えました。
「市長のあいさつ 『ぬいぐるみは市長を舞台にエスコート』」
これだ! 市長をエスコートする時に、市長に馴れ馴れしくして見せる! 当時はまだタレントじみた地方首長が少ない時代でしたから、市長といえば堅苦しい威厳を持った人たちでした。でも、ぬいぐるみなら、その市長に馴れ馴れしくしても許される。市長の方もぬいぐるみと仲良くして人気も上がる! かといって市長の威信を傷つけず、会場が和むほどにいたずらをする! これは見せ場だぞ!
気合の入った私は当日現場に早く着きすぎました。喫茶店に入って時間をつぶすことにしました。何気なく新聞を開くと。
「T市市長汚職で逮捕」!
なんと市長は前日に逮捕されていたのです。私の演技プランは水の泡。
現場に入るとディレクターから
「今日の市長のあいさつは、なしです」
と短い説明がありました。理由は言いませんでした。
その頃、市長は、私のぬいぐるみではなく、おまわりさんにエスコートされていたんですね。
イラスト by sayz
英語
http://shujiromiura.blogspot.jp/