まず初めに断っておきますが、私はディベートがあまり好きではありません。ディベートで打ち負かしたからと言って、人は簡単に考えを変えません。恨みが残るばかりです。政治家ならともかく、一般市民がやることじゃありません。

　しかし私の大学院時代の先生に名門大学の弁論部出身の方がみえて、院生達によくディベートをさせていました。

ある時、ついうっかりその先生にＮＨＫの受信料を払っていることを話してしまいました。先生は貧乏一人暮らしの私が何の抵抗もせず受信料を払っていることに腹を立て、私に宿題を出しました。

「次にＮＨＫの人が徴収に来たら、議論して追い返しなさい」

まぁ先生としては受信料がどうこうと言うよりも、大人とディベートするせっかくの機会を無駄にするな、ということだったんでしょうね。

ＮＨＫに受信料を払うべきかどうか、様々な議論があって、それらの資料を読むだけで勉強になりました。気は進みませんでしたが、準備万端にして次にＮＨＫの人が徴収に来るのを待ちました。

「こんにちは。ＮＨＫです。受信料お願いします。」

来ました。ドアを開けて迎え、対戦者と対面し、議論を始める前に大きく息を吸いました。この時点で、私の敗北は決まったのです。

　その職員さんの口臭がキツかった！　いや、もう議論なんてとんでもない。お金あげるからすぐに帰ってください。

　千の弁論も、万巻の書も、口臭のきつい人の一息にはかないません。

私も加齢臭を気にしなくてはならない年齢。ブレスケアもしなくちゃなぁ。

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イラスト　by Lightsource