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三浦 周二朗ブログ

 ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。

祖父の好物

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祖父の好物

 

 

 私の祖父母は旅行が好きで、よく2人で出かけていたようです。ところが祖母は祖父の旅先での振る舞いで、疑問に思うことがあったそうです。祖母としては、せっかく旅行に出たのだから、その土地の旬の御馳走を食べたい。ところが祖父はたこ焼きや、焼きそば、お好み焼きなど、いつでも、どこでも、食べられるようなものばかり喜んで食べるのです。何故だか疑問に思っていたそうです。でも、それらは祖父にとってはいつでも食べられるものではなかったのです。

 祖父は、とある名のある神社の宮司でした。宮司というのは祭りの時はずっと神社にいるのに、屋台の食べ物は食べられないのだそうです。冷たい仕出し弁当を食べるのです。神社によって違うのでしょうが、神職さん達が焼きそばや、焼きトウモロコシをむさぼっている姿を見ると、ガッカリなさる方もいるんでしょうね。隠れて食べるにしても、どの店から買うか、とか色々難しい問題があるそうです。たまらないのは祖父です。祈祷したり、白馬に乗ったり、祭りの中心にいる宮司ですが、常に屋台のにおいがします。そしてその美味しそうなにおいのモノを何一つ食べられないのです。気の毒に。

 ですから、祖父は旅に出ると、日頃食べられない屋台ものを喜んで食べるのです。旅先では祖父が神職だということを、誰も知りません。思う存分、たこ焼き、焼きそば、焼きトウモロコシ、お好み焼き、焼き鳥、何でも食べ放題です。

 私達は地位の高い人をうらやましく思いますが、思いの外、窮屈なのかも知れませんね。食べたいときに食べたいものを食べられる身分。これに勝るモノはないのかもしれません。

イラスト by そば

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三浦 周二朗
性別:
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