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三浦 周二朗ブログ

 ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。

父と入浴剤

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父と入浴剤

 

 

 家族がこの世を去るのは、辛く、悲しいことですが、悪いことばかりではありません。

 2007年1月、同居していた母方の祖母が他界しました。

祖母はお風呂に入浴剤を入れるのを嫌いました。私は入浴剤が大好きなのに! 我が家で一番偉かったのは祖母でした。当時、芝居をしていた私は生活が不規則でしたので、私が祖母よりも先に風呂に入ることもありました。だから、入浴剤は使えなかったのです。

祖母が他界したからには、これから入浴剤を使えます。葬儀のドタバタが落ち着いて、最初の買い物で、私は気になっていた入浴剤を買ってきて、浴室に置いておきました。

次の日、父が先にお風呂に入りました。その後、私が入ったのですが、浴槽を見て驚きました。私が買ってきた入浴剤がすでに湯船に入っていたのです。知りませんでした。父も入浴剤が好きだったのですね。私と同じように、祖母に遠慮して使わなかったのです。

しかし、湯船に足を入れた時、もっとびっくりしました。足の裏にザラッとした感触が。まさか! 

父は一箱、約30回分入っている入浴剤を、この時、一度に全部使ってしまったのです。容器は空になっていました。流石に30回分はお湯に溶けきらないので、底に沈んでいたのです。

私は何故そんなことになったのか、色々考えました。

1,30回分入の入浴剤を、一回使い切りタイプだと勘違いした。

2,入浴剤を使えるのが嬉しすぎて、お祝いに全部使ってしまった。

3,入れようとしたら、指が滑って容器が湯船に落ちた。

 まぁ、3が濃厚ですね。父は永年、人工透析をしていました。人工透析をしている人は毛細血管が弱くなり、指先に力が入らなくなるらしいのです。

 お風呂から上がっても、私はこの事を父に追求しませんでした。知らん顔してやったんです。

 しかし、父は自分の失敗を申し訳ないと思ったらしく、それ以降、毎月、入浴剤を買ってきてくれるようになりました。当時、貧乏だった私には、ありがたいことでした。

 一度で30回分の入浴剤を使った、贅沢なお風呂の入り心地ですか? ザラザラするだけで、何もいいことはありませんでしたよ。

 物事には、ほどほど、というモノがあります。

イラスト by takagix

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