ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。
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これは元気だった頃の母から聞いた話です。
私の大叔母は愛知県で最初の女性医学博士でした。第二次世界大戦中、名古屋市内の総合病院で働いていたそうです。
空襲の後、病院は大変なことになっていたそうです。
医師も看護師も不眠不休だったのでしょう。
ある日、大叔母は医院長からこう言われます。
「医師にも休みは必要だ」
休暇を出されて、母の家に来たそうです。
七輪でお餅を焼き始めました。
大叔母は
「まちきれん」
と、おもちの焼けたところからはがして食べ始めたそうです。当時、小学校に上がるか上がらないかの頃の母は、大叔母のことを「少しバカなのかな?」と思ったそうです。
私はこの話を子どもの頃に聞きましたが、大人になって、その意味がわかるようになりました。
空襲の後の病院の医師。この不眠不休は、ただの不眠不休ではありません。自分が寝ている間に、食事をしている間に、トイレに行っている間に、次々と人が死ぬかも知れないという不眠不休です。
その姿を見ている医院長が、医師に休暇を出すというのは大変な決断です。休暇を出すことによって死ぬ人もいるからです。しかし、ここで医師が倒れてしまったら、何百という人の命に関わります。鬼のような仏の判断です。
大叔母は休暇で祖母の元を訪れ、姪っ子である母のあどけない姿を見て、急に自分が飢餓状態にあることを思い出したのですね。お餅が焼けるまで待ちきれなかったのです。
医療関係者がゆとりある勤務態勢を維持できるといいですね。最低、休暇の日、お餅が焼き上がるまで、待てるくらいのゆとりは欲しいですね。
イラスト by マイザ