忍者ブログ

三浦 周二朗ブログ

 ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。

エアコンのリモコンがなくなる地獄

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

エアコンのリモコンがなくなる地獄

 

 

 初期アルツハイマー型認知症患者は、とにかくモノをなくします。母もそうでした。色々なモノがなくなりましたが、特に困ったのはエアコンのリモコンです。

 我が家は冬、ガス・ファンヒーターを使っていたので、よかったのですが、問題は夏です。夏の暑い盛りにエアコンのリモコンがなくなるのです。本当に困りました。銀行の通帳の再発行の場合、手間はかかりますが、お金はあまりかかりません。しかしリモコンは、そうはいかなかったのです。

 現在では各社共通の安価なリモコンが販売されていますが、当時はメーカーに直接問い合わせて郵送してもらわなくてはなりませんでした。価格はおよそ2万円。

 母がリモコンをなくす度に、2万円の出費。そしてリモコンが届くまでの数日の間、エアコンなし、あるいはエアコンつけっぱなし。地獄でした。

 これも銀行通帳と同じ解決策をとりました。母が使用する部屋のリモコンは常に2つ以上用意して、一つは私が管理するのです。

 通帳のように一緒に探すフリをして、こっそり置いて、母に見つけさせるという小芝居は必要ありませんでした。通帳の場合は私が疑われないように、小芝居をする必要がありましたが、リモコンにはその必要はありません。いくら病気の母でも、私が親のリモコンを狙っているとは疑わないからです。

「ありましたよ」

と言ってエアコンをつけたり消したりするだけでいいのです。

 各社共通のエアコンのリモコンは今や千円を切り、ネットで注文できます。あの時、そんなリモコンがあれば、我が家の負担は軽かったんですけどね。

 ところで、京都のヨーロッパ企画という劇団の「サマータームマシーン・ブルース」という、映画化もされた名作舞台があります。2001年初演。エアコンのリモコンをめぐる壮大で小市民的なタイムトラベル物のSFコメディーです。もし2001年の時点で各社共通のリモコンが安価に販売されていたら、あのドラマは成り立たなかったかも知れません。

あまりにも便利な世の中というのは、ドラマチックなことが起こらないのかも知れませんね。
English

イラスト by Sato

PR

コメント

プロフィール

HN:
三浦 周二朗
性別:
非公開

P R