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三浦 周二朗ブログ

 ブログというか、まぁ思いついたものを書いています。 ショートアニメを作っています。元舞台役者です。

ダフ屋

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ダフ屋

 

 

 2001年頃、私は東京に住んでいました。東京の素晴らしいところは、演劇の層が厚いことです。週末には色々な劇団の色々な公演を見に行っていました。

 ある週末、ある劇団の公演を見に行こうと、ある劇場に向かっていました。すると、ダフ屋がいました。

「チケットあるよー、チケットあるよー」

びっくりしました。通常、私が見に行くような小劇場系劇団の芝居にはダフ屋なんて出ないのです。しかも、このダフ屋、少しおかしい。

 名古屋の私の実家は大きなコンサート会場が近くにあって、私はダフ屋を見慣れています。ダフ屋は人気に敏感な人たちで、有名アーティストのコンサートでも、本当にチケットが余るような公演にはダフ屋は出ません。人気がありすぎてチケットがとれない公演にだけダフ屋は出るのです。

 私が見に行こうとしている劇団の公演は、決してそんな公演ではないのです。しかもダフ屋は一人きり。基本、ダフ屋は複数で行動しています。ダフ屋が1人なのを初めて見ました。

 そしてそのダフ屋の雰囲気。私が知っているダフ屋とは、まとっている空気が違うのです。むしろ芝居のスタッフさんのような雰囲気です。

 決定的なのは、腰のウエストバッグにつるしている黒いガムテープ。黒いガムテープを私達は「黒ガム」と呼びます。黒ガムは劇場では本当に役に立つアイテムですが、劇場以外では使う機会はほとんどありません。まして、ダフ屋が腰からぶら下げているはずはないのです。

 あれは、「ダフ屋風の呼び込み」だったのですね。

 当日までに前売り券が完売せず、空席があったんでしょう。その席を埋めるために、スタッフの1人が、「ダフ屋の役」をして劇場の近くに立っていたのだと思います。

 東京には出張でお越しになる地方の方も多いでしょう。遊びに来ている人も多いです。中には時間をもてあまして、ウロウロしている人もいるのです。そこでダフ屋が芝居のチケットを売っている。ダフ屋が出るような公演は、人気のある公演だと決まっています。面白くないわけがありません。買う人もいるでしょう。

 私はチケットを持っておりましたので、そのダフ屋から買いませんでしたが、おそらく前売り料金か、当日料金で売っていたのでしょう。それならば、ダフ屋風のチケット販売人であって、ダフ屋行為はしていないことになります。

 劇団としても空席が埋まり、収入が増えます。満席になれば役者の士気も上がります。

 東京公演を計画中の地方劇団の皆さん! この手は使えますよ! 東京公演でチケットが完売するかも? ただし、ダフ屋行為は違法なので、ダフ屋役をする人は警察に引っ張られるかも知れませんがね。

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イラスト
by スキルインフォメーションズ

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プロフィール

HN:
三浦 周二朗
性別:
非公開

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